労働安全衛生法では労働者数をカウントする際には、正社員だけでなく、非正規雇用の労働者(パートタイマー、アルバイト、派遣従業員、契約従業員など)も含めます。
労働者の数が50人を超えた事業場では、産業医を選任して労働者の健康管理等を行わせなければならないとされています。
産業医の選任、労基署への届出(14日以内)
衛生管理者の選任、労基署への届出(14日以内)
衛生委員会の設置
定期健康診断結果報告書の労基署への提出(遅滞なく)
ストレスチェックの実施、労基署への報告(1年以内ごと)
労働者の数が50人を超えた事業場では、産業医の選任以外にも左の5つが法的義務として課されます。
特に、産業医と衛生管理者は選任すべき事由が発生して14日以内に届出を行う必要があるため、労働者数50人を超えてから動き出すと慌ただしくなります。
地域産業保健センター/都道府県産業保健総合支援センター (厚労省管轄)
日本医師会を通じて各地域の医師会 (紹介はしていないと言われることも)
健康診断実施機関
産業医紹介会社
インターネット
労働者数が50人以上となって、初めて嘱託産業医と契約するときは、月に1回 × 2時間程度から開始することが多いようです。
職場の課題状況を、産業医と相談しながら業務に必要な時間を決めましょう。
産業医を選任(解任や辞任時も)したら、概ね1ヶ月以内にその旨及びその理由を、衛生委員会で報告しなければなりません。
また、以下3つを従業員が見やすい場所に掲示して利用可能となる環境を整備する義務もあります。忘れずに行いましょう。
①産業医の業務の具体的内容
②産業医に対する健康相談の申出の方法
③産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取り扱い方法
産業医を契約すれば、あとは勝手に仕事をしてくれるわけではありません。
事業場から情報、資料、環境を提供されて、ようやくその専門性を発揮することができます。
この図は、厚生労働省の「治療と仕事の両⽴⽀援をめぐる現状とこれまでの取り組み」から抜粋したものです。
日本の労働人口の約3人に1人が働きながら通院している
一般定期健康診断の約2人に1人は有所見
とあるように、疾病を抱えながら働く労働者は年々増加しているのです。
医学的知識をもつ者の助言を得ながら、労働者が働きやすい職場環境を作ることが、企業にとっての重要課題になっています。
「仕事が忙しくて病院に行けない」と聞いたことはありませんか?
健康診断で有所見(異常あり)と指摘されているのに病院を受診しない方や、ちょっと体調が悪いのだけど病院に行くほどでもないかなと放置している方は、職場にたくさんいるものです。
好んで病院に行く人は多くありません。なにか理由を見つけては、受診を後回しにしたいと考えるのは人情というものでしょう。
働く人にとって、「仕事で忙しい」はまさに便利な言い訳なのです。
そして、産業医にとって、労働者が受診したくなるよう後押しすることは業務のうちです。
健康とはどのような状態か
どんなタイミングで受診すべきか
この所見・症状で受診するとしたら何科へ行くか
放置するとどのような影響が本人や会社に発生するか
こういった情報を提供することで、労働者が自ら受診したり、健康を維持するよう促すのです。
産業医を選任したら、ぜひ、健康教育や衛生教育を依頼してみてください。
職場の滞在時間が短い産業医では、衛生委員会や巡視にばかり時間を取られてしまって、教育や個別の相談にかける時間を十分に取れないと感じていませんか?
そんなときには、ぜひ保健師の雇用を検討しましょう。
保健師も医学的知識を有しており、健康教育や衛生教育、健康相談をおこなうことが出来ます。
また、保健師は選任を含めて法定業務といったものがありませんので、産業医よりも職場のニーズに沿った活動をしやすい立場です。
当社では、保健師を通じた産業保健サービスの向上も対応しています。
すでに保健師を雇用していて、今後、教育や健康相談の機会を増やしたいがどのように進めていけば良いか悩んでいる事業場の方は、ぜひご相談ください。